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ボーディングスクールの教育 ―♯2 教師と生徒の関係2018-11-29

<火曜日のブログに続きます>
日本人生徒から見たボーディングスクールの先生たちは、親しみとオープンさが感じられる反面、「約束をすぐ忘れる」、「いい加減」、「大雑把」など、日本の教育文化における先生とは違ったマイナス的な傾向もあります。

日本人生徒が約束した時間に先生の所にゆくと、先生は不在ということは良くあります。また、学習に対する指示が綿密でなく、宿題や課題の評価も先生によって異なることも珍しくはありません。
試験の結果でほぼすべてが決まる日本の教育とくらべて、その曖昧さを受け入れられるようになるまで時間も忍耐も留学の初期には必要になります。
英語のハンディがある日本人留学生にとって、ボーディングスクール生活では、とかく良いころよりも悪いところのほうが目立ち、それに意識が集中してしまい、落ち込むということもほぼ留学生であれば、誰でも経験することでしょう。

これらのことは、ボーディングスクール一般にみられる傾向で、たとえば入学難易度の高い学校に行けは、先生が約束を忘れることはなく、生徒への評価の基準も明確、公平で、さらには、いつでもどこでも質問すれば、懇切丁寧に指導してくれるということではないのです。

留学当初は、受け入れがたいことばかりが身の回りで起こりますが、留学生たちの成長は、今までとは違う日常を「受け入れる」という意識改革からもたらされるといえます。それぞれの先生の特徴を把握し、うまく付き合っていくという生活の知恵が留学生のボーディングスクール生活を豊かなものにしていきます。先生、生徒、そして学校スタッフなど、寮生活を通じて、彼らを受け入れることで、留学生は自分の人間としての幅を大きく広げていくと考えられるでしょう。

ボーディングスクールで一年間ほど、留学生活をすれば、留学生たちは、先生が約束を守らなくても、評価基準が曖昧でも、課題、宿題の指示が曖昧でも、それに対処する方法を学びます。その対処の方法とは、正直に自分の思っていることを相手に伝えられるということです。
「先生も人間だ、間違えることもある」と考えるがゆえに、先生の非を丁寧に伝えて、新たな約束を取り付けるという作業が自然と身に着くといえます。評価が不服であれば、評価の理由を自ら先生と話し合う、そのような自立心こそ、高等教育に進む際に必要な主体性を形成する基本的姿勢となると思います。

ボーディングスクールの教育 ― 教師と生徒の関係2018-11-27

ボーディングスクールでは、学校敷地内でおおよそ8割程度の先生やスタッフ家族が生活をしています。その中でも若い先生の場合、その家族が寮の中の一区画で生活していることは珍しくありません。寮で生活する生徒の数はランク3以上の学校においては、例外もありますが、ボーディングスクールレビューによれば、その平均は67%とあります。ランク5のテンスクールズにおいては、寮生の全体に占める割合は8割を超えます。

先生と生徒が同じ場所で生活するところにボーディングスクール教育の特徴があることは言うまでもありません。生徒を先生が授業終了後も監視するという閉鎖的、限定的なものではなく、生徒が困ったときには先生がいつでも相談できるというオープンで積極的な特徴であるとボーディングスクールは強調します。

日本からの留学生はこのボーディングスクールの特徴をなかなか活かすことが出来ません。ほとんどすべての日本人留学生が、先生から「質問に来るように」と言われます。アメリカ人生徒に比べると、日本人留学生は、質問に来る回数がゼロに等しいのがボーディングスクールの現状です。

先生と生徒の関係が家族的であり、気軽に先生と親密になることができるのがボーディングスクールなのですが、日本においては、質問や疑問は学校外の塾や家庭教師などが受け持ってくれているせいでしょうか、ボーディングスクールの先生と日本人留学生の関係は、親密とは言えないと思います。

しかしながら、2年目を迎えるころから、日本人留学生に変化が起こります。彼らも独自に先生との付き合い方を学んでいくのです。必ずしも、学業のみでの先生との関係ではなく、スポーツ、趣味、音楽、芸術などを通じて、自分が得意で親しみを感じる分野の先生と仲良くなっていき、先生との接し方を学んでいくようです。

不得意科目について、わからないから質問するといっても、言葉と異文化と言うハンディを持っている日本人留学生にとっては、初年度からボーディングスクール教育をうまく使っていくことは至難であることでしょう。次年度、そして翌年と年を重ねるごとに、ボーディングスクールの先生の傾向と対策を自分なりに習得していくようです。

その要点は、日本の学校文化の常識を払拭して、新たな自分の学校文化をボーディングスクールで築くことに他なりません。
つづく


日曜コラム 趣味の世界2018-11-25

ボーディングスクールの面接で話題に上る項目の一つに
「あなたの趣味は」ということが挙げられます。
英語でいえば、この場合の趣味はhobbyというよりもより広範囲にinterestsとなります。

中学高校時代に勉強に集中すべきところ
趣味の世界などとうつつを抜かしている場合ではない

というのは、受験勉強や入試対策を苦行あるいは、乗り越えるべき人生の修行などと
みなす日本的発想のように思います。
ボーディングスクール的発想で考えれば、
趣味の世界に没頭することは奨励されるべきことです。
さらには、趣味が多種、多様に及ぶことはとても歓迎されます。

いつも好きなことに熱心に取り組むというボーディングスクール環境に
接している私は、無意識のうちにその方針に賛同するばかりか、
常にそのチャンスを探しているように思えてきます。

子どもと始めた剣道も23年目を迎えて、おかげさまで六段を取得できました。
二十歳をすぎて始めたテニスにしても、今でも時間が許せば、
ボーディングスクール訪問時、私が世話をしている生徒と
1セットくらい出来ないかといつも思っています。
私にとっては孫のような若者ですが、彼らと1時間や2時間は打ち合う
気力だけは失いたくありません。

音楽はもっぱら聞くことが専門ですが、学校訪問時、生徒たちがギターや
ピアノを演奏するのを目の当たりにすると、やってみたいという気持ちが
ふつふつと湧いてくるのを感じます。

すべてが実践できるわけではありませんが、
最近、具体的になりつつあるのが、バイクによるサーキット走行です。
まるで曲芸のようなバイクレースのコーナリングを見ていると、
それだけでわくわくしてきて、チャレンジ精神を掻き立てられます。

それがいよいよ具体的になってきました。

一般公道よりもサーキットのほうが、走行の安全性とレベルが高く、
その装備も驚くほどに完全であることに気付きました。
サーキットのコーナーで転倒しても、ダメージを最小限に押さえる
工夫がその世界では徹底しているので、公道よりも
エキサイティングであり、安全性も担保されるとなれば、あとはGOあるのみです。

趣味を楽しむことができれば、自分の能力の範囲を拡大できると
ボーディングスクールは考えているだけでなく、それを実践しています。
その精神を私は、自分のこれからに活かしていこうと真剣に考えています。

ボーディングスクールの教育 ― 食事について2018-11-22

<火曜日のブログに続きます>
ボーディングスクールの食事はここ10年で大きく改善されました。改善された要因の一つにアジア人留学生の増加があると思います。

世界をリードするアメリカですが、食文化については、日本のほうが遥かに優れているとおおよそアメリカを訪れた日本人は感じると思います。個人的にも、年に7-8回、学校訪問でアメリカを訪れますが、一週間ほどの滞在で一番困るのは食事です。帰国前のホテルでの食事や国際線では、食欲はかなり低下し、正直なところ「もう、たくさん」というのが本音です。脂っこく、量が多く、繊細さに欠け、種類も少なく単調な食事は米で育てられた文化を持つ日本人には受け入れがたいところがあると思います。

さて、今の中学、高校留学生たちですが、ボーディングスクールの食事について、おおよその生徒が受け入れることができるようです。学校訪問時に時々、昼食を訪問先校のダイニングホール(食堂)でいただくことがありますが、ひと昔に比べると、選択のバリエーションが多くなったことが、その進歩と言えると思います。
余談で恐縮ですが、日本での昼食が果物と牛乳のみの私にとっては、食べるものの選択肢の多いボーディングスクールの食事は好都合です。私が欲しいものは完璧に用意されています。また、同行する生徒やその保護者の皆さんもとても満足気にボーディングスクールで昼食を摂られます。

規模の大きなボーディングスクールになると、アジア、イタリア、ベジタリアンなどから昼食を選ぶことが出来て、その組み合わせはかなり多くなります。それぞれの場所に盛り付けをする給食スタッフがいるところもさながら都会の大きなホテルのバイキングと言えるでしょう。

ボーディングスクール側によると、食事の改善は配膳会社の競争による質の向上を上げています。学校独自で食事を賄うのではなく、その専門会社複数が競合することにより食事が美味しくなったということですが、その背景には、食事について生徒からの細かな指摘があったともいえると思います。もちろん、世界から多様な食文化を持つ生徒がボーディングスクールに来るようになったことの効果ではないかと思います。

ボーディングスクールの食文化、これからは、日本からの留学生が牽引するようになってほしいと思います。

ボーディングスクールの教育 ― 生徒のための施設2018-11-20

<先週木曜日のブログに続きます>
やる気に火をつけることがボーディングスクールの目指している教育であり、その内容について先週解説させていただきました。生徒をやる気にさせるためにボーディングスクールでは、その施設のあり方にもたくさんの工夫がなされ、費用も使っています。

テンスクールズの中でも最も入学難易度が高いと言われているエクセター(Phillips Exeter Academy)、アンドーバー(Phillips Academy, Andover)のシアター(演劇、ミュージカルなどパフォーミングアートやオーケストラのコンサートホールとしても使われる)は、音響設備や観客席、舞台の配置など、高校レベルの施設とは到底思えません。日本の映画館よりもその内容は充実していると思います。
音楽の分野では、弦楽器、ピアノ、ドラムなどの個人レッスン(オプション)室、クラシックバレー、ヒップホップなどのダンススタジオなどの設備も驚くほどに整えられています。

テンスクールズ、ランク4のボーディングスクールでは、アイスリンク、温水プール、5面以上のスカッシュコート、複数の室内テニスコート、レスリング場、サッカー場、野球場、フットボール場などは標準装備と言えます。

これらの施設が生徒によって使用されるのは、放課後から夕食までの数時間と週末、および週に1-2度の他校との対抗試合の時だけです。

日常の午後3時ころまでは、これらの施設は森閑としているばかりです。

教育イコール勉強という発想はボーディングスクールにはないのかも知れません。教育とは、生徒に自分自身とは何かを気付かせること、そしてその可能性をできるかぎり追求するために、ボーディングスクールは、その施設の多様性と充実度を恒に高く保っているのではないでしょうか。

ボーディングスクールの施設で生徒が最も長い時間を過ごす寮についても、その改善は進んでいます。病気や怪我などに対応するため、寮の各階には必ず先生とその家族が同居しています。また、おおよそ7-8割の先生家族が学校敷地内で生活をしています。

寮はほぼ定期的にリノベーションあるいは改築が行われ、シャワーが水になる、雨漏りがするなどの不都合は、いわば昔話になっています。
つづく