日曜コラム 親と子2017-04-23

IT関連で困った時に息子に電話します。
ネットが繋がらない時の対処が電話の主たる理由です。
息子のアドバイス通りにパソコンを操作すると、うまくネットが繋がります。
ネットが繋がらないと仕事になりません。
自宅で夜、海外と連絡を取らなければならない時など、
息子のバックアップは必須項目です。

息子の生業としての養蜂についても時々連絡を取ります。

息子よりも倍くらい生きているので、社会的経験から
仕事についてのアドバイス、援助、そして時には指示もします。
我が子であるがゆえに、性格や行動の傾向は熟知していると
思い込みがちなのですが、行動するのは、自分ではありません。
従って、自分では納得のいくアドバイスを彼にしたと思っても、
彼がそれを実行しなければ、結果は出ません。

親と子であると同時に、仕事においても繋がっているので、
時として、彼の行動に対して、修正を求め、考え方を改めるように
指示をすることがあります。

養蜂は純然たる農業ですが、とても可能性のある仕事ではないかと思います。
しかしながら、その可能性を開花させるためには、
恒に考えて、知恵を絞り新たなことにチャレンジをしていく必要があります。
それを実行するのは、息子ですからメッセージはたくさんあります。

IT関連では、息子から教えられ、養蜂という仕事に対しては、こちらから教える。
親子の二人三脚もそろそろ5年目を迎えます。
これからも続くであろうこの関係が10代の子どもたちの留学を
応援するコンサルタントの仕事にも大いに役立ちます。

留学する子どもたちが何を望み、何を不安に思い、どのようにして
自分の未来を築いていくのか、彼らにとってどのような教育がいいのかなど、
一方通行の留学肯定論、留学至上論といった大人の理屈は
彼らにとって魅力的なものではありません。

コンサルタントとして、子どもたちと直接かかわりを持つことのできる
この仕事ですが、その根本は自分自身の親子の関係の意識にあると思えます。

今週から生徒とのカナダの北東の州、北極からそれほど離れてはいない
ケベック、ニューブランズウィック、
そしてノバスコシアにある学校訪問が始まります。

暗記からの脱却2017-04-22

<昨日のブログに続きます>
日本の受験が壮大な暗記に基づいていると昨日のブログで述べましたが、暗記しなければいけない事柄が10代の生徒たちの学校生活には必ず伴います。理科の分野における新出単語は、覚えないことにはその次の段階に進めませんし、歴史分野では大きな出来事の年代を覚えることで、歴史の流れがより明確になるでしょう。
数学の定理、英語の単語や熟語、国語の漢字や熟語などなど、学習の基礎には、暗記は必須項目です。

教育の大きな問題と課題は、生徒たちがどのようにしたら自ら進んで、教育を受けたい、知りたい、試したいというやる気を持たせることができるかにかかっていると思います。

ある留学を控えた生徒が、日本の自校の先生に、「生徒の(成績)評価をテストの点数だけでするのはおかしい」と言ったところ、「では、何で評価したらいいのか」というのが先生の返事だったそうです。先生としては、その生徒とのコミュニケーションを増やすために、議論のきっかけを作りたかったのではないかと思ったのですが、「それ以外に何で評価したらいいのか」というのが、その先生の本音だったそうです。

ボーディングスクールであれば、授業への参加度、宿題の出来具合、小テスト(クイズといいます)の結果などが当然、生徒の評定の半分以上を占めるわけですが、日本の場合は、ほぼ定期考査テストの結果がすべてと言えるでしょう。
である以上、日本の中等教育機関で学ぶ生徒が暗記に全力を尽くすことは、きわめて合理的であると言えます。

暗記の繰り返しという単調な作業を6、3、3年と行い、その流れにうまく乗って、徹底的に知識を増やして、どのような問題が「与えられて」も正確に、かつ迅速に答えられるというのが、日本式秀才なのかもしれません。そこには、創造、独創的要素はそれほど必要ではありません。

問題は創り出すのではなくて、向こうからやって来てくれます。すなわち受身です。

それが通用したのが戦後復興期から成長期の日本社会でした。今、日本は成長気を過ぎて、欧米社会と同様、成熟社会を迎えています。社会の変化に伴い、戦後社会を支えてきた終身雇用や年功序列といった価値観が自然消滅する中で、中等教育機関から高等教育機関への選抜方式は、自然消滅するどころか、堅持されている状況です。すなわち、暗記量の増加と暗記範囲の拡大です。

これから日本を支える若者たちの教育は、とても重要であることは間違えありません。そのために今までの方式を修正しつつ変えていくのがいいのか、あるいはドラスティックに変換するのがいいのか、それを判断することに「受身」であることを変えることが、一番合理的で実践的であると思います。

海外には目を見張るような生徒の能動に中心を置く中等教育機関が多数存在しています。

暗記学習の欠点2017-04-21

これから留学するある生徒のスカイプによる面接に立ち会って、
暗記学習のもろさを痛感しました。

本人曰く、「いきなり大きな質問が来たので、(頭が)真っ白になってしまいました。」

確かに、アドミションスタッフからの質問に対して、
本人の答えは、文章になっていない場合がほとんどで、
Yes、Noで答えるべきところもうまく行きません。
アドミッションスタッフが気を遣ってくれて、本人から何らかの返答が
あった時は、Great!Wonderful!などと相槌を打ってくれています。
インタビューが始まってしまえば、コンサルタントが介入できませんから、
15分程の時間は志願者本人にとって、今までの学校生活のなかで、
最も辛い時間の一つであったと思います。

本人は現在、中学校3年生、SLEPテストの結果は標準を上回り、
指示されたこともしっかりできる生徒です。
しかしながら、今までに習った英語を使って話すということに、
極めて不慣れで、話すための学習もしていないため
頭が真っ白になってしまった後のインタビューは、本人が望んだものとは、
程遠く、その落胆ぶりは、気の毒なほどでした。

早朝に始まったインタビューで普段の力が発揮できなかった理由は、
暗記することに頼りすぎた学習方法にあるかもしれません。
インタビューが始まるまでの45分ほど、本人は集中して
想定質問への返答文章に目を凝らしていました。

本人の記憶の中には、質問の流れがあって、その順番に従って覚えることが
日本の学校での試験前対策として習慣になっていたのでしょう。
ところが、スクリーン上の現実は、覚えたことの順番も内容も
本人の想定外のところにあったわけです。

英語知識という点では、明らかに下位にある生徒が、
学校訪問をして、個別のインタビューでアドミッションスタッフとの
コミュニケーションを上手に成立させるばかりでなく、
ほめられるという現実も何度も経験した私にとっては、
学習の効率とその実際での運用について、とても考えさせられる事象です。

暗記学習は、残念ながら現場での使い勝手が悪く、応用が利かず、
持続性もないように思います。
特定の目的のために、瞬間的に記憶されたものは、その目的が終われば、
自然に消滅してしまうのかも知れません。
この仮説が当たっているとすれば、受験というのは、壮大な暗記学習である
可能性が高く、数年、場合によっては十年以上に渡り、
積み重ねられた知識を試験で吐き出して結果を出した後、
受験生が体験するこころの空白、空しさは相当な衝撃でしょう。
それを克服するために新たな考え方や生き方が必要とされるのかもしれません。
つづく

ボーディングスクールの生徒募集と入学審査2017-04-20

今年の9月から始まる新学期からの生徒募集は、3月上旬に第一回目の合否発表が行われています。合格、不合格、そしてwaiting list(欠員があれば繰り上げ合格)のいずれかの連絡が志願者のメールアドレスあるいは、ウェブ上の本人のアカウントに通知されます。

それで生徒募集が終了してしまうボーディングスクールは、TABS加盟の200校あまりのなかで40-50校程度です。あとの学校は、寮の部屋の空きがなくなるまで生徒募集が行われます。

ESLのないボーディングスクールは、出願に際しては、SSATオンラン、自校のウェブオンライン、Gatewayオンラインによる出願が主流です。ESLのある学校はこれらのオンライン出願に加えて、TABSのcommon application(共通願書:入力後印刷、あるいは印刷後手書き)を使って出願することが可能です。

オンラインの出願とPDFないしは、郵送出願の違いは、出願者の英語力の違いで区別されます。すなわち、英語力が不十分であれば、オンラインによる出願者質問肢への回答もかなり手間のかかる作業になるでしょうし、キーボード操作に慣れていなければ、入力自体から学習しなければなりません。また、出願はすべて英語で行われますから、英語、数学、カウンセラー(担任)ないしは学校管理者からの推薦状の作成要領なども記入を依頼する先生に的確に説明できないといけません。

ESLのないランク4以上のボーディングスクールにおいては、すべて英語で行われるオンライン出願に戸惑うようであれば、そこで出願資格を失うことになります。

出願後の入学審査においては、ボーディングスクールの場合、合議によって合否が決定されます。留学生の受け入れに関しては、ランク5、ランク4の学校を除き、学校生活全般が円滑に行えるだけの英語力があるかどうかが審査の中心となります。
英語力が足りなくても、それをカバーするやる気、学力特性、スポーツ特性、芸術・音楽特性、社会性、それ以外の志願者の個性などが検討されて合否が決定されます。

インタビューを担当したアドミッションスタッフが志願者の基本的な説明を行い、それを他のメンバーと協議します。他のメンバーとは、アドミッションスタッフだけではなく、ESLの先生であったり、生徒指導部長、生活指導部長、そして校長や副校長であったりもします。

志願者の情報をなるべく客観的に数字や書面で示して、それを回覧するという作業が行われるので、英語力を証明するようなデータが必要になります。従って、点数の如何にかかわらずTOEFLやTOEFLJuiorのスコアが要求されたりもします。

200校あまりの北米ボーディングスクール、その半分くらいの学校は9月の新学期からの生徒募集を行っています。

Deerfield Academy – 6・7年生のためのサマープログラム2017-04-19

数日前にアメリカのボーディングスクールの中でも、
入学難易度が最も高いと言われているテンスクールズの一つ、
Deerfield Academyから「カウンセラーの皆さんへ」という案内の入った、
ポスターが届きました。

The Experimentoryと名付けられたこの学校のサマープログラムは、
参加者を6年生、7年生に限定しています。
英語が普通に話せないと参加できないのですが、その内容が素晴らしいので、
ご紹介させていただきます。

期間:7月9日~8月5日(4週間)
演劇の分野:喜劇、悲劇、Circuitryと電子技術の組み合わせ
社会の分野:文化、建築とデザイン
音楽と映画の分野:視覚と聴覚を生かした物語づくり

アメリカ、ボーディングスクールのサマースクールに共通していることは、
学習に関することだけでなく必ず楽しいことをプログラムに盛り込むことです。
このプログラムでは、自然を利用した運動公園での遊び、
マサチューセッツ州の博物館、文化財、歴史的な名所巡りが用意されています。

このプログラム、Deerfield Academyへの将来の志願者のための準備に
考えられたものではないかと思います。
Deerfield Academyは志願者をアメリカ国内だけでなく世界に求めています。
プログラムの案内には、「参加者の創造的な学習を通じて『なりたい自分』になることへの挑戦を支援します」とあります。

更には、「このプログラムでは、参加者の想像力を刺激し、新たなる思考を生み出し、創造的学習の基礎を作るため、いくつかの複眼的思考方法を組み合わせています。」ともあります。

寮生活における協調性、また協同学習でのチームワーク、そしてgood character(性格の良さ)のための要素を実践するともあります。

このサマープログラムの案内書からDeerfield Academyが求めている
生徒像が見えてきませんか。

創造性、先見力、良識、協調性、そしてチームワークということが
強調されますが、学習力、知識力、学習範囲などは、「案内」としては
何も書かれていません。

プログラムの内容を見ても、暗記するものはおそらくありません。
何かを覚えて、受験に備えることが将来のDeerfield Academy生には
求められていないのでしょうか。
それは、おそらく、将来の志願者が自ら考えて、
自ら取り組まなければいけないことなのでしょう。
それは当然のこととして、それにプラスして、このサマープログラムの要素を
この学校が要求しているということになります。

将来、ボーディングスクールへの入学を希望する人たち、
あるいはボーディングスクールから次の大学に至る人たちに、
このプログラムの内容は十分に参考にしてもらえるものと確信します。