#6 Cardigan Mountain School 卒業式でのスピーチ2017-10-17

<昨日のブログに続きます>
昨日に続き、ロバーツさんのスピーチは具体的なアドバイスです。
皆さんは自分の好きなペンを持っていますか。
ふと気が付くと、私たちの日常から手で書く文字が急激に減っています。

私事にわたり恐縮ですが、私はちょうど10年ほど前にお世話をした
生徒の叔母さんからいただいたボールペンを今でも使い続けています。
できれば、私の子どもたちにそのペンを使ってほしい。
また、その孫たちにも使い続けてほしいと思います。

現代の若者にロバーツさんからの具体的なアドバイス、
これが最後になります。

The last bit of advice I’ll give you is very simple, but I think it could make a big difference in your life. Once a week, you should write a note to someone. Not an email. A note on a piece of paper. It will take you exactly 10 minutes. Talk to an adult, let them tell you what a stamp is. You can put the stamp on the envelope. Again, 10 minutes, once a week. I will help you, right now. I will dictate to you the first note you should write. It will say, ‘Dear [fill in the name of a teacher at Cardigan Mountain School].’ Say: ‘I have started at this new school. We are reading [blank] in English. Football or soccer practice is hard, but I’m enjoying it. Thank you for teaching me.’ Put it in an envelope, put a stamp on it and send it. It will mean a great deal to people who — for reasons most of us cannot contemplate — have dedicated themselves to teaching middle school boys. As I said, that will take you exactly 10 minutes a week. By the end of the school year, you will have sent notes to 40 people. Forty people will feel a little more special because you did, and they will think you are very special because of what you did. No one else is going to carry that dividend during your time at school.
-とても単純だけど、人生において大きな違いを生み出すこと
ロバーツさんのアドバイスとは果たしてどんなものでしょうか。

メールでなく一枚の紙に週に一度、だれかにメッセージをつづってほしい。
きっかり10分でそれを書く。
大人に、切手が何かを聞く。(切手を知らない若者がいるのです)
切手を封筒に貼る。
もう一度言うが、週に1回、10分だ。
一つ例を今、示そう。

Dear ~先生(カーディガンの先生宛)
新たな学校生活を始めました。私たちは今[-]を読んでいます。フットボール、(サッカー)の練習はきついです。でもそれは楽しいです。先生が教えてくれたことに感謝しています。

これを封筒にいれて、切手を貼り、郵送する。
私たちの多くが何らかの理由でじっくりと考えられなくなっているが、
この手紙は、自分の人生を中学生の教育に捧げた人たちにとっては、
とても大きな意味を持つものなのだ。
すでに伝えたように、週に一度10分間でこれを行う。
学年が終わるまでに君は40人の人にメッセージを送ることになる。
40人の人々が君が行ったことのために、意識を持つことになり、
それがひいては、君が特別な人物となっていく。
学校生活で誰も獲得し得ない「配当」を君は手にする。


日曜コラム ジョン・ロバーツ氏のスピーチ2017-10-15

アメリカ、ニューハンプシャー州にあるジュニアボーディングスクール、
カーディガンマウンテンスクールの卒業式での来賓、
ジョン・ロバーツ氏のスピーチを4回にわたって解説させていただきました。
中学3年生に向けられたスピーチですが、還暦を過ぎた私にも
学ぶところが沢山あるばかりでなく、これからの人生の指針ともなり得ます。
もちろん、それをいつも念頭において積極人生を生きるという意味です。

ロバーツさんが言いたいことの核心は、ソクラテスの汝自身を知れという
言葉によって代表されると思うのですが、そこへのアプローチの方法が、
失敗を恐れず、果敢にチャレンジすることを、若者たちに淡々と述べる
ところに、アメリカの良心を感じます。

来週、あと2-3回で彼のスピーチは完結するのですが、
さて、これから高校生になる諸君への具体的なアドバイスは、
どのようなことになるのでしょうか・・・。

ロバーツさんのスピーチの続きはアメリカからの発信です。
今回の学校訪問は2組のご家族を案内するので、
普段とは違って、長めの滞在になります。

それぞれの訪問先校で学校の教育方針について問う機会もあります。
ロバーツさんが言っているボーディングスクール生の特権、
(Privilege)について聞いてみたいと思っています。
ボーディングスクールを運営する側は、どのようにprivilegeを
説明するか、興味深いことです。

個人的には、ボーディングスクールに通って得られる特権とは、
失敗を恐れないこと、チャレンジの精神を忘れないこと、
友を大切にして、尊敬の念を抱くことなど、ロバーツさんがスピーチで
述べているそのものと思います。
彼の言う通り、若者がこれらの特権を、とうとうと述べることも
それを権利として主張することもあまり意味がないと思います。
それは彼ら自身の内面的な問題であり、
まさにソクラテスが言うところのknow thyselfは、自らの内省によって
意味を持つものと思います。

それが検証できる旅にしたいと思っています。

#4 Cardigan Mountain School 卒業式でのスピーチ2017-10-14



<昨日のブログに続きます>
アメリカ最高裁判所長官、ジョン・ロバーツ氏のスピーチ、
衝撃を受けた読者の方々も多いのではないかと思います。

本題に入ると、ロバーツさんは、差別待遇、裏切り、寂寥感、不運、失敗、
無視と前途有望な若者たちに向かって、必ずある現実を率直に述べました。
これらの否定要素の裏側に、自分を成長させるたくさんのヒントがあります。

外は雨、静まり返った講堂に響くアメリカで司法の頂点に立つロバーツさんの
スピーチは、そこに集ったすべての参加者視線を一転に集めたことでしょう。

本題-その2
Now commencement speakers are also expected to give some advice. They give grand advice, and they give some useful tips. The most common grand advice they give is for you to be yourself. It is an odd piece of advice to give people dressed identically, but you should — you should be yourself. But you should understand what that means. Unless you are perfect, it does not mean don’t make any changes. In a certain sense, you should not be yourself. You should try to become something better. People say ‘be yourself’ because they want you to resist the impulse to conform to what others want you to be. But you can’t be yourself if you don't learn who are, and you can’t learn who you are unless you think about it.
-最も一般的なアドバイスとして「自分自身であれ」ということがあると
ロバーツさんは言います。
彼はその意味を追求していきます。

それは、自分自身を変えてはいけないということではなく、
常に向上心を持つことです。
人は、他人から言われて自分を変えてはいと言うが、
自己と何かを学ばずして自分自身には成れず、自己を考えることなく、
自分を確立できません。

The Greek philosopher Socrates said, ‘The unexamined life is not worth living.’ And while ‘just do it’ might be a good motto for some things, it’s not a good motto when it’s trying to figure out how to live your life that is before you. And one important clue to living a good life is to not to try to live the good life. The best way to lose the values that are central to who you are is frankly not to think about them at all.
-ロバーツさんは「吟味のない人生は価値のないものだ」という
ソクラテスの例を引きます。

行動せよというモットーは特定のことについては当てはまるだろうが、
君たちの次の段階の人生においてどう生きるかを追求しないことには、
そのモットーは適切ではない。
汝自身を知ることの価値を失う方法はそれを考えずに生きることです。

So that’s the deep advice. Now some tips as you get ready to go to your new school. Other the last couple of years, I have gotten to know many of you young men pretty well, and I know you are good guys. But you are also privileged young men. And if you weren’t privileged when you came here, you are privileged now because you have been here. My advice is: Don’t act like it.

ソクラテスは深いですね。さて、高校に進学する際の行動のヒントを
お伝えしましょう。
私は君たちの多くを良く知っています。
そして、君たちが善良であることもね。
しかし、それだけではない。君たちは特権のある若者たちなのです。
君たちが入学当初はそうでなかったとしても、この学校にいたことで、
君たちは特権を獲得しました。
その君たちに対して私は、特権者としてふるまってはいけないという
アドバイスをしたい。
つづく

#3 Cardigan Mountain School 卒業式でのスピーチ2017-10-13

<昨日のブログに続きます>
アメリカ最高裁判所長官、ジョン・ロバーツ氏、
Cardigan Mountain Schoolの卒業式でのスピーチ、本題に近づきます。

導入部分-その3
It is worth trying to think why that is so. And when you do, I think you may appreciate that it was because of the support of your classmates in the classroom, on the athletic field and in the dorms. And as far as the confidence goes, I think you will appreciate that it is not because you succeeded at everything you did, but because with the help of your friends, you were not afraid to fail. And if you did fail, you got up and tried again. And if you failed again, you got up and tried again. And if you failed again, it might be time to think about doing something else. But it was not just success, but not being afraid to fail that brought you to this point.
最初の文章、why that is soですが、昨日解説した前のパラグラフを
受けています。すなわち、不安でたまらなかった新入生が、
なぜ今やなぜ母校を第二の我が家と感じるまでになったか
ということです。
ロバーツさんはクラスメートに支えられたと言い、
自信については、成功の結果ではなく、
失敗を恐れなくなったからだと言っています。
何度も何度も失敗したら、それは自分に合っていないことではないかと
立ち止まって考える時かもしれないと彼は言います。
このチャレンジ精神が君たちを強くたくましくしたのだと
ロバーツさんは結びます。

下記の2つのパラグラフは長いですね。これからが本題です。

本題-その1
Now the commencement speakers will typically also wish you good luck and extend good wishes to you. I will not do that, and I’ll tell you why. From time to time in the years to come, I hope you will be treated unfairly, so that you will come to know the value of justice. I hope that you will suffer betrayal because that will teach you the importance of loyalty. Sorry to say, but I hope you will be lonely from time to time so that you don’t take friends for granted. I wish you bad luck, again, from time to time so that you will be conscious of the role of chance in life and understand that your success is not completely deserved and that the failure of others is not completely deserved either. And when you lose, as you will from time to time, I hope every now and then, your opponent will gloat over your failure. It is a way for you to understand the importance of sportsmanship. I hope you’ll be ignored so you know the importance of listening to others, and I hope you will have just enough pain to learn compassion. Whether I wish these things or not, they’re going to happen. And whether you benefit from them or not will depend upon your ability to see the message in your misfortunes.
驚いたことにロバーツさんは、9年生(日本の中学校3年生)を
終えた卒業生諸君に、下記のようなメッセージを熱い気持ちをこめて贈ります。

君たちが差別的待遇を受けることを望む、そうすることで君たちが正義の価値を知ることになるからだ。君たちが裏切られて悩むことを望む、なぜならば君たちが信頼の重要性を認識するからだ。すまないが、時には寂しさに包まれてほしい、そうすれば友を空気のように感じることもないだろう。時には、不運にも遭遇してほしい、そうすれば人生におけるチャンスの時期を感じられる。君たちの成功はすべてが自己のなしたるものではなく、人の失敗もそのすべてがかれらのせいではないことも理解できるだろう。
君たちが負けた時、相手は君たちの失敗をなじるものだ。それが、君たちにスポーツマンシップの重要性を理解させることになる。
無視されることから、君たちは人の話に耳を傾ける重要性を認識することになる。
共感を学ぶためには、苦しみも必要だ。

好むと好まざるとにかかわらず、これらのことは起こるのだ。
そこから君たちが学べるか否かは、不運からのメッセージを読み取る
君たちの能力にかかっているのだ。




#1 Cardigan Mountain School 卒業式でのスピーチ2017-10-11

ジュニアボーディングスクールに留学している生徒のお母さんから
とても興味深い情報をいただきました。
アメリカ、ニューハンプシャー州にあるジュニアボーディングスクール、
Cardigan Mountain Schoolの卒業式での来賓、
アメリカ最高裁判所長官、ジョン・ロバーツ氏のスピーチです。

ボーディングスクール教育を象徴するような内容です。
数回に分けて、その全文を掲載し、解説をさせていただきます。

導入部分
Rain, somebody said, is like confetti from heaven. So even the heavens are celebrating this morning, joining the rest of us at this wonderful commencement ceremony. Before we go any further, graduates, you have an important task to perform because behind you are your parents and guardians. Two or three or four years ago, they drove into Cardigan, dropped you off, helped you get settled and then turned around and drove back out the gates. It was an extraordinary sacrifice for them. They drove down the trail of tears back to an emptier and lonelier house. They did that because the decision about your education, they knew, was about you. It was not about them. That sacrifice and others they made have brought you to this point. But this morning is not just about you. It is also about them, so I hope you will stand up and turn around and give them a great round of applause. Please.

アメリカの卒業式はその多くが屋外で開かれますが、
この卒業式の日は雨が降っていたようです。
「雨は、ある人によれば、天がもたらすキャンディーであり、今朝、天はその恵みをもたらしています」と始まったスピーチです。

余談ですが、confettiの単数形はconfetto、コンフェットー、
このサウンドに聞き覚えがありませんか、そうですコンペイトウです。
辞書を引くと、糖菓、キャンディー、紙吹雪とありますが、
このブログを読んでいるお父さん、お母さんには
懐かしい響きのある言葉ではないでしょうか。

さて、ロバーツ氏は、卒業生の入学時、親の心境を表現します。
かけがえのない我が子の教育をボーディングスクールでという決断を
親はしたわけですが、涙で満たされた帰り道のドライブ、そして
愛する我が子のいない家は空虚さと寂しさに満たされていた。
それでもあえて、それを実行したのは、愛するが故の我が子のため・・・。

ロバーツ氏は卒業生に向かって、
「君たち、起立して、回れ右、そしてどうぞ君たちの親に拍手を送ってください」

Cardigan Mountain Schoolは男子校のジュニアボーディングスクールです。
多くの生徒が6年生で入寮し9年生で卒業します。
入学当時、精神的にはよちよち歩きだった我が子が、
成長し、彼らから拍手を受ける保護者の皆さんは、
涙を禁じ得ないと思います。
私も涙します。
つづく