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日曜コラム ♯2 フィリピンからの剣士2019-05-19

<先週の日曜コラムに続きます>
埼玉県川越市にある私設剣道場、孝道館で熱心に稽古をしている
フィリピンから来た剣士の試合の結果は、残念ながら一回戦負けでした
三本勝負(二本先取)で行われた試合でしたが、
日本とも面を取られてしまいました

本人はこの判定に不満でした

ボクシングに例えれば、手数が多く、有効と思われるヒットが何度もあったのに
審判の旗があがらないというわけです
もう一つの彼の主張は、相手の選手が面を打つ時、前かがみになるため
それを受け流さずこちらも対等に突進すると、
相手を突き飛ばしてしまうことになり攻撃がやりにくかったそうです

お互いの技量差はそれほどなかったので、本人としては不満なのでしょう
なぜ、彼の面や小手が三名の審判員に認められなかったかというと
「残心」がなかったからに尽きます
すなわち、打った後の姿勢が崩れるか、あるいは次の動作に入ってしまうので
審判員の先生方は旗を上げないのです
ボクシングと違って、剣道は相手をノックアウトさせるものではありません
正しい姿勢で正しい部位を正確で打突しているかどうかだけでなく
打った後も残心といって、次の攻撃、防御のための姿勢を
しっかり取っていないと一本にはならないのです

打つ前の攻め、打つタイミングとその姿勢、そして打った後の態勢に
一連のリズムがないと一本にならないので、剣道では基礎練習が大切です

本人曰く、「当たっているのに旗があがらない」
「何度も審判の旗があがったのではないかと彼らを見た」
「相手を怪我させてはいけないと遠慮した」など、納得がいかないようです

西洋の剣道であるフェンシングでは、有効打突かどうかは
電子化されていますから、とても解りやすく、
審判員による個人的見解などは、判定にまったくありません
剣道の試合は、フェンシングの判定とは違い、
審判員の個人的見解があることは否めません

しかしながら、剣道の試合の判定が電子化されることはあり得ないでしょう

そのようなスポーツ文化をフィリピンからの剣士にどのように説明するか
彼との会話はその半分以上が英語ですが
剣道における「攻め」、「有効打突」、「残心」などの説明は
時間をかけて、焦らずに、時にはその背景にある日本の歴史も踏まえて
語る必要がありそうです

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