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日曜コラム 剣道-その文化を伝える2019-04-28

剣友の一人にフィリピンから来た英語教師で剣道二段の若者がいます
彼はとても熱心で真面目な剣士で竹刀を握り始めて2年ほどで
剣道三段に挑戦できるほどまでに上達しました
日本滞在がそれほど長くないので、六段、七段の先生方の指導の言葉が
理解できないことも多々あります

20代後半と思しき彼と私の雑談は英語ですが
剣道に熱心な彼の質問に私はいつも戸惑いを隠せません
例えば、相手を「攻める」ということを説明する時に
単純に英語にすれば、When you attackですが
これでは、剣道の理合い、間合い、攻めの気といった精神と体の
バランスが到底説明できません
剣道の指導者たる高段者の先生方は、打って勝つではなく、
勝って打つという心理的優位性を強調されるのですが
それをwin and hitと英語で表現してもhow do you do that?と切り返されます

彼は若さと1メートル85センチほどもある物理的優位性を生かして
ガンガンと竹刀を振り回すのですが、その所作に品がない
従って、格が備わらずに美しい剣道がなかなかできません
「品格」は私たちが日常でも無意識に尊重していて
それをテーマにした日本人の生活や文化を解説している本もベストセラーに
なっていることは、成人日本人ならおおよそ理解できることです

品や品格ということを英語に置き換えると、
きちんと当てはまる単語が見つかりません
そこで私は、彼と剣道を構成している日本の文化について
語る機会を設けることにしました

さて、勝って打つという精神的な優位性をどう説明したものでしょうか
また、剣道の基本に、「手で打つな足で打て、足で打つな腰で打て」という
という解説があるのですが、これを単純に英語に直訳すると
Don’t hit by hand but hit by foot, don’t hit by foot but hit by wasteとなり
おそらく意味不明でしょう

彼と剣道の所作について英語で話していると、いつも不十分観に襲われます
また、動作の背後に隠れている精神の在り方について
説明しきれていない自分に疑問を感じます
おそらく、それを払拭するためには、相互にかなりの時間が必要でしょう
そのきっかけは、やはりお互い語り合う、疑問をすなおにぶつけ合い、
それを受けとめて議論を尽くすことになるのではないかと思います

彼にうまく日本の品格を伝えることが出来るよう
剣道の稽古の時のみならず、自身の研鑽を尽くしたいと思います

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