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ボーディングスクールの教育―人格を作る2018-12-11

ボーディングスクール教育の特徴となるスポーツ、少人数クラス、寄宿生活などについて述べてきましたが、その目指すところは、全人教育にあると思います。しっかりした人格を持った人間とは、自ずと社会貢献ができる人ではないかと思います。

社会への貢献の仕方はたくさんあります。そのなかから自分に合ったものを選ぶ基本をボーディングスクールは教えたいのではないかと思います。そのために、学業以外のものごとにも生徒が関心を持つようにいろいろな機会を設けているのではないかと思います。

10名から15名の少人数クラス編成、スポーツにおいては、能力、技能別チーム編成による参加者全員の試合体験、絵画、工作だけでなく、陶器、写真、デザイン、ITに関連した創作的芸術、音楽の多様な個人教授、寮における生徒の自主管理体系など、勉強することのみでなく、むしろ学校生活の日常のなかから、自分が興味のあることや、情熱を持てることを探し出し、追求することを彼らは熱心に奨励しています。

経済がグローバル化され、世界がどんどん狭くなり、日本の在り方も変化せざるを得なくなるなかで、求められるのは、個人の判断力、価値観、積極性などではないでしょうか。それが試験によって得られるものではないことを、ボーディングスクールはかなり以前から知っていたがゆえに、立派な人格を持った人間を作ることを教育の根本において、それを実践しているのではないでしょうか。

すべての先進国がそうであるように、日本もこれから少子化が更に進み、国民の平均年齢も高くなります。働き手を国内で賄いきれなくなれば、外国人に頼らざるを得なくなることが、あと10年先、20年先にはより鮮明になると思います。それでも、国内における教育が大きな変化を遂げなければ、世界に置いて行かれることは必至でしょう。

多様性を受け入れ、価値観の違いを認め、お互いがうまく共存、共栄を図るためにも、ボーディングスクールという小さな社会で実践されている教育は、価値あるものに思います。

日曜コラム 和顔施について2018-12-09

瀬戸内寂聴さんによると和顔施(わがんせ)とは、
「笑顔をあげる」ことだそうです。
仏教でいうところの多々あるお布施の一つであるわけですが、
笑顔をあげるほうもいただくほうもその効果はとても大きいように思います。

和顔施の効用を実体験したのは、今年のある学校訪問においてでした。

その訪問は、大学出願を2年後に控えたボーディングスクールに通う生徒に
お父さんとお父さんの長年のお友達ご夫妻が参加されました。

学校訪問の旅では、予期せぬことも起こります。
食事の時間が確保できない、
ボストン、ニュ―ヨークなどの大都市では、予測できない
交通渋滞や、タクシー、地下鉄などの場合は移動手段の思わぬトラブル、
ホテル予約を取っていたにも関わらずそれが確認できない、
そして、フライトのキャンセルや遅延、
こちらが思っていた通りに運ばないことも良くあります。

ご年配のご夫妻の奥様は、予期せぬことが起こる度に、笑顔で笑うのです。
もちろん、ゲラゲラと笑うわけではありません。
「ふっ、ふっ、ふっ」といわば悟ったような穏やかで、
その場を和ませるように笑顔と発声をするのです。

私は直観的にその人のおおらかさ、人格的大きさを感じました。
「すごい」と思うのです。
トラブル発生、あるいは困ったという難しい局面で、
それを笑顔で受け入れてしまうというその人の日常の在り方に、
すごさを感じるわけです。

怒らない、受け入れる、どうにかなるということを実践するのは、
将にこの和顔施しかないだろうと私は思うのです。

笑う門には福来るとも言います。
笑顔や微笑みといった表現そのものに、人をハッピーにさせ、
前向きに、そして元気にさせるという作用があると私は確信しました。

本来、和顔施というのは、人に与えるものですが、
考えてみれば、自分自身も人です。
人に与えるということは、自分にも効果があると思います。

来年、1月、2月と学校訪問がありますが、
和顔施の実践で楽しいものにしたいと思います。

ボーディングスクールの教育 ―♯4スポーツは全員参加です2018-12-06

<火曜日のブログに続きます>
「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」という教育方針を実践するボーディングスクールでは、スポーツが放課後の必須参加活動であることは前回述べました。また、ボーディングスクールには、ジュニアボーディングスクールも含めて体育の授業というのは、正課にはありません。放課後の3シーズン制のスポーツが体育の代わりです。

ボーディングスクールのスポーツは、生徒が自主的に3シーズンのスポーツ種目を決めます。もちろん、スポーツよりも、芸術面、音楽面に力を入れたい生徒もいますから、1シーズンはスポーツの代わりに他の活動を放課後に行っても良いという規定を設けているボーディングスクールはたくさんあります。

今日の表題、スポーツの全員参加の内容は、チーム編成についてです。日本の場合、中学、高校のスポーツ活動クラブでは、主要な試合に出ることができるのは、1校、1チームに限られています。しかし、ボーディングスクールにおいては、生徒の技量に応じて、1軍、2軍、あるいはそれ以上のチームを編成して、それぞれのチームが主要な対抗試合にそれぞれのレベルで参加します。

更にユニークなのは、ジュニアボーディングスクールの一軍とボーディングスクール(高校)の2軍が対戦することも頻繁にあるそうです。

技量に関係なく、自分が好きなスポーツ、あるいはやってみたいスポーツ、興味のあるスポーツをすぐにできるのがボーディングスクールの体育教育の注目すべき点があると思います。
新たなことを始めるには、勇気と決断力が必要です。ボーディングスクールでは、生徒たちが新たなことに挑戦することをとても尊重しています。そうすることで、生徒たちが新た能力や才能に目覚めることもあるでしょう。また、継続して一つのことをおこなえば、長い人生、そこから学びうることも多くあると思います。

このような考えの結果、スポーツチームの能力、技能別編成が生まれたのだと思います。

アメリカには日本の高校野球のような全国レベルのビッグスポーツイベントは高校レベルではありません。ボーディングスクールの世界においては、対抗試合のリーグは、全国レベルということはあり得なく、せいぜい州単位です。

このような体育環境ですが、フットボール、バスケットボール、野球などのプロスポーツの世界に多くのボーディングスクール出身者が活躍しています。

ボーディングスクールの教育―♯3引退はありません(スポーツ)2018-12-04

<先週木曜日のブログに続きます>
受験があるから高校3年生は、クラブ活動を引退し、専ら勉強に専念するというのが、日本の高校では常識ですが、ボーディングスクールにはこのような慣習はありません。

実力で一軍、二軍というようにチームが構成されていくボーディングスクールのスポーツですが、日本と基本的に違うところは、放課後のスポーツがボーディングスクールでは必須となっていて、年3シーズンのうち、おおよそのボーディングスクールが2シーズンを何らかのスポーツチームに所属することを生徒に義務づけていることです。

1回選択したら、それを卒業まで続けることが当たり前とされる日本のスポーツ活動に比べ、ボーディングスクールはシーズンごとに生徒がスポーツを選択するだけでなく、どのようなスポーツでも年に1シーズンしか行うことが出来ません。
ボーディングスクールで生徒に「どのようなスポーツをやっているか」と質問すると、「バスケットボールとサッカー」、「ラクロスとスカッシュ」、「フットボールと野球」など複数のスポーツを答えるのが一般的ですが、それは3シーズン制でスポーツ必須というボーディングスクールにおける大きな特徴と言えます。

放課後に生徒たちにスポーツ活動を必ず取らせる背景には、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」ということの実践に他ならないと思います。その考えはフレッシュマン(日本の中学校3年生に相当)においてもシニア(高3)でも変わらずに適応されています。勉強だけでは人として不十分だからこそ、高校3年生であっても試合には出るのが当然とみなされるのではないかと思います。

シニア(高3)になり、スポーツチームでキャプテンとなれば、それはリーダーシップポイントとして、大学入試の評価にプラスされます。ボーディングスクールの生徒にしてみれば、キャプテンになることは、SATやTOEFLの点数を上げることと同等あるいは、それ以上の価値のあることに他ならないのではないかと思います。
つづく

日曜コラム #2 趣味の世界-そのパワー2018-12-02

<先週の日曜コラムに続きます>
多様な趣味を持つことを否定するのでなく、その好奇心や興味を大切にして、
生徒のやる気を促すのが、ボーディングスクール式教育の一面ですが、
若い時に培ったその積極的な発想は、それを習得した人にとって、
生涯の無形の宝物と言えるのではないでしょうか。

卑近な例で恐縮ですが、還暦を過ぎてタイムマネジメントを工夫し、
自己の趣味範囲を拡大してみると、時間の使い方が濃くなり、
考え方もプラス思考が拡大したように思います。

年齢に関係なく、今まで経験のないことにチャレンジするには、
勇気と決断力が必要だと思います。
それを体系的に学ぶことは、人生そのものに多大な影響を及ぼすと思います。
決断することが重要な時に、逡巡してしまい、チャンスを逃してしまう、
そもそも、決断が必要だと認識することも出来なくては、
人生そのものが味気なくなり、自ずと決断しなくてもいい、日和見的な受け身的な
方向にも行きかねません。

与えられたことばかりをこなすだけの学習は受け身的な人生には合っているのでしょうが、
果たして、これからの世界はそのような方向に向かっているのでしょうか。

新たなことに挑戦してみることを、ボーディングスクールが奨励しています。
その内容が多岐に渡ればわたるほど、行動の優先順位や、
時間の使い方を工夫しないと満足、納得した生活は送れません。

それを学び、身につけることは、受験勉強と同じくらい大切に私は思います。

好きなことを考える、好きなことを発見する、好きなことを実行する、結果を考える
このプロセスから独創性や創造性も生まれるように思います。
それが昇華すれば、社会的意義や貢献を生み出すことになるのでしょう。

ボーディングスクールが私に与えてくれた教育観に私は今、とても感謝しています。
趣味や興味を、これからも追求して止まないのは、私が多くのボーディングスクールを
訪問したことで得た教育の根本です。

新たなことへの挑戦に年齢制限はなく、限界もありません。
それを実行するために、あくまでも自分自身を客観的に見つめ、
ゴールに到達するイメージを楽しみながら、趣味の世界が自分にもたらしてくれる
エネルギーの力に感謝したいと思います。