ボーディングスクール選択の要素2017-11-18

200校を超えるアメリカ、ボーディングスクールのなかから、自分に合った学校を選択するために必要な要素はおおよそ下記のようになります。

① 志願者への英語力の要求度
② 学力の要求度
③ 費用
④ 学習環境
⑤ 留学生・現地生の比率
⑥ 評判
⑦ 進学実績

これらの情報のうち、①③④⑦はウェブ上でおおよそ集められます。その他の情報は、ウェブに頼ると、偏りがちになり、果たしてそれが正確で客観的な情報であるかどうかの判定は難しくなります。

そこで学校を訪問してみるということになるのですが、その前に今月11日と13日のブログで取り上げたアメリカ、ニューイングランド地方にあるボーディングスクールの入学難易度を総生徒数、寮生数、ESLの有無という情報を基にして考えてみます。

ボーディングスクールの入学難易度のおおよそを判定する基準は、寮生数に注目します。アメリカ、ボーディングスクールのポータルサイト、Boarding School Review、TABSで調べれば寮生数はすぐにわかります。私のボーディングスクールランキング5、4、3の学校を例に挙げてみます。

ランク5 Phillips Exeter Academy (総生徒数)1084(寮生数)872

ランク4 Berkshire School 395 356

ランク3 Tilton School 250 187

ランク5の10校の寮生数は最も少ないHill Schoolで396人です。ランク4の学校群、すなわちESLがないボーディングスクールの寮生数のレンジは250人から350人で、上限が多少上回る学校もなかにはあります。ランク3のESL付きの学校の寮生数のレンジは150名から250名くらいになります。

これらの数字情報を基にして、まず学校をリストアップします。そして、より多くの学校情報を集めるために、一般の出願者の場合、アドミッションオフィスに日本人留学生の連絡先を問い合わせてみるのも学校の情報を収集するうえでは良いと思います。

既存の生徒あるいは卒業生のメールアドレスや電話番号は個人情報ですが、情報公開については、本人の許可を得ています。
学校訪問をすればツアーガイドの生徒は、いずれのボーディングスクールでも必ず自分の連絡先を訪問した生徒に渡します。それがボーディングスクールの習慣になっています。

学校訪問をしなくても、日本からの留学生の連絡先を公開してくれるということは、学校選択のために有効な情報となり得ると思います。

なお、各ランクの難易度解説は下記サイトをご参照ください。
http://econcierge.blog37.fc2.com/blog-entry-97.html


地域を愛するということ―ボーディングスクール2017-11-17

21年間同じ学校のアドミッションオフィスに勤務するスタッフと話しました。
彼は、同校の卒業生で大学を出てから、証券会社に勤務したそうです。
その後、母校に戻って21年間のキャリアを積み現在に至っています。
彼の二人のお子さんは同校で学ぶ10年生と12年生の生徒です。
娘さんは大学では看護学、医学を目指し、現在出願中で、
息子さんはまだ専攻は決めていないようですが、
バスケットボールが大好き少年。親子でノースカロライナの名門、
バスケットボール全米ナンバーワンの大学、デューク大学に試合観戦に
出かけ彼らのプレーに大いに感動したそうです。

さて、彼の21年のキャリアですが、その過程で多くのボーディングスクール、
海外の学校から引き合いがあったとのことです。

―ボーディングスクールのアドミッションスタッフは、3年から5年で学校を変えているように思えます。あなたも例外ではないでしょう。どんなオファーが他校からありましたか。
「国内だけでなく、アジアの国々から新設校のスタッフの依頼も複数ありました。現職の5倍、6倍の年俸を彼らは提示しました。」
―なぜ、そのようなオファーを断ったのですか。
当然のことながら、私は迷いました。家内とも何度も話し合いました。私の結論は、私が生まれ育ったこの地域を離れられないということでした。自身のハイスクールでの経験が忘れられないのです。私を育ててくれたこの学校に戻ってきて、私はそこで成長していると思っています。この環境を捨ててほかのところで自分と家族が満足できないと思います。
―あなたにとって、幸福な生活とは何ですか。
「豪華な家や豊かな生活ではないと思います。私は自分が生まれ育ったこの社会が好きなのです。ここは田舎です。安全ですし、地域のみなはとてもフレンドリーです。子育てには適していますし、豪華な家や生活がなくても、私たち家族にとっては最高の環境であり、社会です。」
―これからどうしたいですか。
「私の学校はエクセターやアンドーバーのような名門校ではありません。しかし、先生はとても生徒思いですし、生徒も母校を愛しています。もちろんプライドもあります。私は自分の母校をよりよい学校にしたいですし、その目標に向けてこれからも努力したいと思います。」
―ありがとうございました。

これは、彼と私の会話の一部です。
長く務めることが珍しいアメリカ社会ですが、キャリアを重ねて職場を変えているのが常識な中で地域や人への愛着を第一に考える、そんなアドミッションオフィサーの言葉は、私のこころに深く、強く響きます。
於:シカゴオヘア空港

ESLのカリキュラムについて-ボーディングスクール2017-11-16

英語力が初級で日本での学業成績も平均あるいはそれを少し上回る程度の生徒が留学する場合、ESLクラスでの英語学習は必須です。
ESLクラスが3段階に分かれている場合、初級、中級、上級とクラス編成をするのが一般的です。初級のESLクラスは英語、社会、そして理科の科目となり、ESL以外のクラスは、数学と芸術あるいはコンピュータグラフィックなど技術系のクラスを初年度は取ることになります。

次年度は、ESLクラスを2つに減らされ、理科系の科目、生物、物理、化学などを現地生徒と一緒のクラスで学ぶことになります。

3年目は、ESLクラスは1科目あるいはゼロとなります。

ESLクラスに現地の生徒はいません。また、初級のクラスにおいては、英語を全く知らない生徒から、日本の生徒に多く見られるように英語をある程度知っていても話せないだけの生徒など、各自の学力レベル、学習能力は大きく異なる場合があります。

生徒間のあまりの学力格差、そして中国系の留学生の多さ、更には中国語が飛び交い、彼らのわがままな振舞いにカルチャーショックを受ける留学生もたくさんいます。

このような状況を嘆いていても始まりません。解決策は自主的に勉強をして、ESLクラスをなるべく早く脱出することです。幸いなことに、アメリカの学校は日本ほどに授業人員や期間が固定されていません。
特にESLにおいては、そもそもその目的が留学生の英語のハンディを保護し、現地生徒と学べるための準備を整えるものですから、本人の英語力の上達が著しい場合は、後期にレベルを上げることも可能です。

そのESLですが、それぞれのクラスで何が教えられるのでしょうか。英語ESLについては、日本のように文法、語法と読解が厳密に分けられて教えられるわけではありません。文法ばかりを1年かけてやっている暇はなく、留学生は自主的に文法を学ぶことを期待されます。
その多くの時間は、英語で書くことの基本を学ぶために費やされ、自分の意見を述べ、その理由を説明するという練習に多くの時間が割かれます。

社会や理科のESLについては、その内容が留学生用に簡素化、要約された教材が用いられるか、あるいは、教科書を使わず、先生が作成したビデオ、プリント、あるいは屋外での実地学習などで留学生に各教科への学び方を教えるというのがこれらのクラスの実際です。

歴史の勉強-ボーディングスクール2017-11-15

留学希望の生徒に嫌いな科目、不得意な科目を聞くと、
ほぼ半分の確率で社会、とりわけても歴史と彼らは答えます。

その理由は、「暗記が嫌い」です。

このブログを読んでいる成人の皆さん、留学生のご保護者の皆さんも
暗記ばかりの歴史の授業が嫌いだったという人は多いのではないでしょうか。

日本史は大の苦手というよりも、暗記に対して拒否反応をしてしまう。
例えば江戸時代、町民文化が栄えて、幕府が脆弱になってくるあたりから、
社会、芸術、音楽などの分野でやたらと暗記する項目が増えると、
頭の中が満腹状態となり、もうこれ以上無理と自分の中の無意識が、
勝手に覚えることを放棄してしまいます。
余談失礼しました。

ボーディングスクールでは、暗記による歴史のクラスの学業評価は
ほぼないようです。

では何を歴史の授業で勉強するのでしょうか。

複数の日本人留学生からの情報、そして先生からのそれを総合すると、
歴史のそれぞれの時代の大きな出来事についての原因(cause)と
結果(effect)を授業では追求していくというのです。

なぜその事件が起きたか、そしてその結果、社会がどのように変化したか
ということを議論するのが授業だというのです。
すなわち、歴史を輪切りにして、それぞれの時代の主要な出来事を
暗記し、それを解説できるようにするという作業は、
ボーディングスクールでは行われていないというのです。

原因と結果を考えることは、将に歴史に学ぶことであり、
自分自身の歴史をこれから作っていくうえでも、
とても利用できる思考ではないかと思います。
しかし、中等教育時代、テスト対策のために暗記した歴史は、
その目的が達成されたとたんに目的を失うので、
いつまで知識が保存されるのかは疑問です。
仮にそれが保存されていたとしても、頼朝が鎌倉幕府を開いた年を
覚えていても実生活には何ら役に立つわけではありません。
なぜ頼朝が幕府を開いたのか、あるいは開けたのか、
そしてその後、日本の社会がどのように変化していったのか・・・、
そのようなことを、暗記よりもむしろ先に考えれば、
多くの生徒たちが、自分の意見を述べることでしょう。
頼朝を自分に照らし合わせて、一国を収める決断をして、
それを実行するに至ったかのほうが、人として興味の持てることです。

ニューイングランド地方の今2017-11-14

バーモント州、バーリントンから始まった学校訪問を終えました。
終着地はメイン州ポートランドで、そこから生徒とお母さんを
シカゴ、オヘア空港までお送りして、国際線乗り場で別れました。
その日の午後、日本から到着した生徒とお母さんと一緒に、
オヘア空港の国内線ターミナル(#1、#2)で再度、
ポートランドに向かうUA3045便を待っていると、

なんと雪が降り始めました。

一週間前にニューイングランド地方のボーディングスクールを
訪問した時、オーバーコートなどは不要だったので、
シカゴでの雪には驚きました。
この雪の影響で、私たちの便は大幅に遅れました。
まだ日のあるうちに出発はできたのですが、シカゴからポートランドに向かう
途中、地上が雪に覆われて白くなっている地域が見うけられました。

アメリカ、東海岸のニューヨークより上、
ニュ―イングランド地方にはすでに冬がやってきたようです。

翌日から始まった二組目のご家族(生徒とお母さん)との学校訪問、
メイン州には冷たい北風が吹きまくっていました。
ツアーガイドを務めてくれた私の既存の生徒が、
「斉藤さん、(コートなしで)寒くありませんか」と問いかけられて
「そうでもないよ」と曖昧な返事をしたのですが、
やせ我慢の塊だったのが本音です。

学校訪問はまだ続いています。
幸いにも雪の予報はなく、どうやら今年最後の学校訪問、
雪に悩まされずに終えられそうです。

日本でいえば北海道のような気候のこの地域です。
初雪も感謝祭が終わるころには留学生たちは体験することでしょう。
そして、マイナス20℃を超える季節がやってきます。
それでも、いずれのボーディングスクールも外の寒さとは対照的に
部屋の中に入ると、まるで春、体育館であっても春なのです。

ニューイングランド地方は、「北の国」であり、
「もう、悲しみを暖炉で燃やし始める」のではなく、
暖かな屋内で、若いエネルギーが燃え始める季節を迎えています。