#5 現代の教育2018-05-25

<昨日のブログに続きます>
中等教育におけるボーディングスクールとジュニアボーディングスクールへの留学で、夏休みほど大切な時期はないと思います。その3か月間で達成すべきことは何でしょうか。最も実用的で重要なのは英語力、読む力の向上です。

昨日のブログでTOEFL、SSATの準備学習が留学生にとって面白いものではないことを述べました。しかしながら、これらのテストで高得点を挙げなければ、志望校選択に支障が出ます。日本の学校であれば、間違えなくTOEFL対策やSSAT対策のための補習や塾、予備校などが講座を設けますが、ボーディングスクールは伝統的にそのような対策を生徒に任せています。

ボーディングスクールでの日常は、しっかりとスケジュールが決められていますから、日本の受験生のように1日に4-5時間も勉強することは物理的に可能ではありません。また、それほどまでに授業以外で生徒が学習に時間を費やすことを、ボーディングスクールはよしとしません。授業以外の時間は、運動や芸術の活動にも与えられます。それがバランスの良い人間を作るために必要であると彼らは信じています。

それ故に、TOEFL、SSAT、SAT対策は生徒に任せられるのかも知れません。すなわち、バランスの良い感覚、意識を持ってすれば、的確に時間を使え、何をどうしたらいいかという計画も自主的に作れるということになります。

ボーディングスクールが目指している教育というのは、決してトップ校と呼ばれている大学に生徒を受からせることではありません。トップ校に進学しても、大学が学生の将来を保証してくれるわけではありません。あくまでも、自分たちの未来は自分たちが切り拓いていくしかありません。更には、社会に出てからも組織や会社がそこで働く人の未来を保証はしてくません。終身雇用や年功序列といった価値観は欧米の国々は日本に比べてはるかに希薄です。その文化が、ボーディングスクールの教育にも色濃く反映されているように思います。
つづく

ボーディングスクールの留学生グループ2018-05-10

<前日のブログに続きます>
留学中の日本人同士、本来であれば、お互いの目的であるところの中等教育を終了してその次の高等教育への準備のために協力すべきですが、現実はグループ内での人間関係に悩む生徒もいます。
気遣いが希薄であり意見が合わない時は、話をして解決をすることが当たり前な欧米文化を学びながら、日本人と接する時は、気遣いを強要させられるというのは合理的ではありません。当然、その当事者は悩むわけですが、留学先において、この問題を先生に相談することは極めて困難です。その理由は、先生自身が気遣いとはどのようなことなのかを理解しないからです。

今までの自身の経験から考えると、転校を希望する留学生の半分は日本人同士の人間関係でのトラブルが原因となっています。

一般的にジュニアボーディングスクールでの日本人留学生は年齢も若く、異文化への適応も早いためその人間関係はアメリカ人的のように思います。お互いをファーストネームで呼び合い、おおよそ先輩、後輩という区別は明確でなく、昼食時も学校によって席を決められていることが多いので、国ごとに固まるということもありません。
高校になると、精神年齢も高くなり、異文化の中にあっても日本人同士は、苗字で呼び合い、先輩、後輩の区別もつけるようになる傾向があります。また、高校は食事の時の席は自由なところが多いために、国ごとに集まっての食事になることも多いように思います。
そうなると、日本人グループ内はいわば日本環境になります。その組織の一員となると、「つきあい」が生じるため気安く抜けられなくなります。日常の学校生活でのつきあい、週末のつきあいなど煩わしくなって、リセットするための転校ということになるわけです。

この状況を避けるためには、留学当初からに既存の日本人留学生たちに、自分の留学の目的を明らかにし、彼らの力を借りずに、学校の力を借りて現地に適応できるように努力することが必要です。
最初から自分の付き合い方を定義しておけば、それでも「グループに入れ」ということにはなりません。

留学本来の目的は、あくまでも異文化のなかでの新たな自分の発見とその成長にあると思います。その目的を恒に意識することも大切に思います。

日曜コラム 食文化と教育2018-04-22

日本の食文化は世界有数ではないかと思います。
アメリカのそれと比較すると、その多様性、清潔さ、ホスピタリティ、
正確さ、そしてもちろん美味しさなど、
圧倒的に日本が優れていると確信します。
そして、「食」という分野においては、日本に生まれたことに感謝します。

アメリカのそれはなぜ「教育」のようには、
進歩、発展しなかったのだろうかと考えてみました。
また、日本においては、「食」は斬新なアイディアや手法が
絶え間なく取り入れられて、世界に新出する気構えがあるのに、
教育に関しては、世界に出るどころか、国内でがっちりと固定され、
多様性も応用力も感じられません。

朝の電車で高校生たち、
教科書や参考書をじっと見つめて、暗記に集中している光景は、
おそらく明治時代から変わっていないのではないでしょうか。
一方で、食に関しては、スシやテリヤキなどが、戦後日本から
海外に進出しただけでなく、国内でもより安く、より良いものという
ことから、回転寿司が生まれ、それもどんどん進化しているように思います。
考え方や発想において、恒に追求していないと取り残されてしまう
というのが日本の食文化を支えているのかもしれません。

アメリカに行って驚くのは、一流と言われているホテルに
レストランが一軒しかないことから始まり、
やたらと食事が油にまみれていること、
味付けが大雑把で甘い、辛い、しょっぱいなどに品格がないこと、
そして、給仕のサービスがとてもいい加減でたいていの日本人であれば、
腹立たしいほど、気遣いがないことなど、批判すればきりがありません。

日本の食文化、その多様性の背景には、異文化を率先して受け入れ、
それを日本に馴染むように上手に手を
加えていこうという精神が感じられます。
その精神の柔軟性を持ってすれば、教育も発展するように思います。
知識を増やすことに捕らわれることなく、子どもたちの豊かな発想や興味を
伸ばすために、異文化の教育の良いところを吸収して、
日本式に発展させることで、これからの世界のなかの日本が見えます。
また、見えなければ、子どもたちの未来はどうなってしまうのか、
そんな不安を抱えている大人たちは少なくないと思います。

人は食べなければ生きていけません。
同様に教育を受けなければ、先が見えないのですから、
その根本的な発展のために、より多くの時間と費用が費やされても
いいと思います。


日曜コラム 雪のボストンにて2018-04-08

金曜日に最後の目的地ボストンに着きました。
20℃を超え、お花見真っ盛りの日本から、真冬に逆戻りしました。
幸いにも午前中の学校訪問は、強い風がふいたもの晴れていました。
これで6校の学校訪問を終えて一安心して、ボストンの中心地、
ガバメントセンター駅からブルー路線の地下鉄で空港まで戻り、
そこからシャトルでホテルに戻りました。

金曜日の昼、お客さんが一人もいない閑散としたホテルのレストランで
食事をして、ロビーから外を見るとなんと雪が降っていました。
午前中、風が肌を刺すような冷たさだったのは、
寒波のせいだったのでしょう。

この雪、2時間以上降り続いています。積もってはいません。
天気予報では雨に変わるとのことでしたが、
今、部屋からそとを眺める限り、その勢いは衰えていません。

「なごり雪」にしては、寒すぎます。

ボストンはアメリカではとても古い歴史のある街です。
そして、世界的に有名な大学も複数あり、学術都市でもあります。
当然、歴史的な遺産もたくさんあるわけですが、
私は、自分の役割が終わるとさっさとホテルに引き上げ、
そこで机に向かいます。時には、部屋に入って数分もしないうちに
バタンキューと寝入ってしまうこともあります。

私にとっては、学校訪問がアメリカ文化を表す一つの尺度であり、
それらを訪問し、見て歩くことが、
そもそも自身の精神の「観光」にもなっています。

英語圏の学校をたくさん見て歩いて感じるのは、
第一に、日本の教育の在り方への疑問であり、
第二に、自分が貢献できることが何はであり、
第三に、それをどのようにして実行できるかということです。

今回の旅で不覚にも風邪をひきました。
残念ですが、3日目以降は、朝夕の運動はできなくなりました。
更には、右目も充血して、体調は良くありません。
それでも、滞りなく学校訪問を終えることができたことに感謝しています。
数百回も海外に出れば、当然のことながら風邪をひくこともあります。
そんなことで、ぐずぐず思い煩うことを私はよしとしません。

毎回の旅、主人公は生徒です。

今回同行したご家族は、お父さんと息子さんでした。
幸いにも、息子さんは留学歴2年なので英語には不自由しません。
外は雪ですが、二人ともボストン近代美術館でじっくりと
絵を眺めていることでしょう。
そして、学校で紹介してもらったボストン一の古いレストランで、
オイスターとロブスターを堪能していると思います。

同行した家族が喜ぶことが、私の学校訪問の主旨であり、哲学でもあります。
嬉しくなければ、勉強をする気にもなれません。
私はすべてのことを笑顔で始めたいといつでも思っています。

日曜コラム 卒業生の来訪2018-03-11

2011年からお世話して2014年に留学を終え、日本の大学を卒業して
社会に出る生徒が就職の挨拶に来てくれました。

とても久しぶりなので、オフィスに来るのが緊張すると
お母さんからメッセージがあったのですが、実際に本人に会ってみると、
彼女も私も緊張は全くありませんでした。

彼女の職場は病院で試験準備と実習とで
日本での学校生活はとても忙しかったそうです。
「合コンとかはどうだった」という私の興味本位の質問に
彼女は、「誘われるけれど、あまり興味はありません」とのことでした。
実習では、いろいろな現場の人たちと接したようで、
人間関係の難しさを実感したそうです。

留学4年間はいろいろなことがありました。
順風満帆ではなく、たくさんの困難や予期せぬできごとを
彼女は乗り越えました。そして帰国。
日本での学校生活も多忙を極め卒業を迎えました。
そのような彼女との雑談に時間はあっと今に過ぎていき、
とても短く感じられました。

彼女に将来の夢を尋ねました。

かなり具体的に返事が返ってきました。
「しっかりしてきたなあ・・・」と思います。
しかしながら、その生徒と初めて会った時から9年あまりを経た今でも、
すぐに時間をワープできたことが私たちに共通した嬉しさであったと思います。
同期生も含めて、再会を約束しました。
社会人一年生で東京在住ではないので、
この約束は実行できるかは定かではありません。
また、いろいろ話そうとうことの延長線上に再会があるわけで、
それはお互いの精神を維持することにおいては必要なのかもしれません。

留学時のご縁で、訪れてくれる人がいることをとても光栄に思います。
これからもそのようなご縁は大切にしていきたいと思います。

彼らがこれから入っていく社会はどのようになるのでしょう。
半世紀以上にわたり、彼らが経験する人生を思う時、
自身に残された時間をどのように有意義に使うかを真剣に考えます。
そして、留学する人、できる人の支援を誠心誠意行うことを
再確認させられる卒業生の来訪でした。