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ボーディングスクールの教育文化-Be yourself2018-10-25

Be yourselfとは文字通り「自分であれ」という意味ですが、ボーディングスクールのどのような場面でこの言葉が用いられるかというと面接です。

アメリカの入試方法がジュニアボーディングスクール、ボーディングスクール(高校)、そして大学と相似形であることは今までに折に触れて述べてきましたが、中等教育機関であるジュニアボーディングスクール、ボーディングスクールと高等教育機関である大学の入試方法で唯一大きく異なるのは、面接の重要度ではないかと思います。

中学・高校ボーディングスクールにおいては、面接はとても重要です。それに対する何よりの対処法がBe yourselfであると受け入れ側のアドミッションスタッフのみならず、世界最高とも評価されるアンドーバー、エクセターなどの在校生もBe yourselfであることが面接の要点であると述べているのです。

今まで、私はボーディングスクールの面接について、質問される内容やその対処法について具体的に示してきましたし、留学指導もしてきました。しかしながら、Be yourselfというところの意味、意義については、それ程、積極的に解説していません。その理由は、この言葉がいわば哲学的、倫理的意味を多分に含んでいるからです。
正直なところ、語りだすときりがありません。自分自身であるために、どうすればいいのかということをマニュアル化などできるわけがありません。日本の受験生であれば、「自分自身であるために、一日も早く受験戦争から解放されて自由になりたい」となるかもしれません。もし、この仮定が成り立つなら、Be yourselfの哲学とは程遠いことになります。

自由とは何かという思考がありません。

とにかく受験勉強という束縛から逃れたいという感情に受験生自身が支配されているように思います。受験に取り組んでいる生徒たちはそれがなければ、勉強しないのでしょうか。
学問とは本来そのようにつまらなく、無味乾燥で、単調なものなのでしょうか。もしそうであれば、文化、文明などありえないでしょう。

ボーディングスクールの面接において、アドミッションスタッフが期待しているのは、志願者の好奇心の指向性であり、中等教育時代に何を達成したいかであり、自分をどのように成長させたいかということの表明です。
これは受験する学校の入学難易度には一切関係ありません。すべてのボーディングスクールは、そこで学ぶ生徒に対し、まず人として基本的要素を要求しています。
(来週に続く)

#2 ボーディングスクールの面接について2018-10-16

<日曜コラムに続きます>
アメリカ、東海岸地方のボーディングスクール訪問をしながら、
面接の要点について述べています。

アメリカの東海岸地方、特にマサチューセッツ州、コネチカット州
ボーディングスクールが50校以上あります。
TABS加盟の200校あまりの学校のうち、アメリカの州のなかでは、
決大きな法ではないこの2州に1/4のボーディングスクールがあるのです。
もちろん、それらの学校の入学難易度は異なるわけですが、
今回は、ESLのない学校、私のランキングでいうとランク4にあたる学校での
面接要領について述べています。

一般的には、訪問先の学校の基本情報を学び、ウェブにある学校データから
その特徴を理解して、それを自分の志望の動機と結びつけて述べるのが、
面接の基本でしょうが、それがボーディングスクールの面接に
当てはまらないことは、前回の日曜コラムで述べました。

学校との相性を大切にする、アドミッションスタッフとの会話が成り立つ、
話に盛り上がりがある、自然な自己表現などは、前回のブログでの繰り返しです。

面接の結論として、志願者が一番気になること、
すなわち合否についてその可能性を確認するという作業に入ります。
日本式の面接においては、合格の可能性を問うことは、論外ですが、
コミュニケーションを重んじるボーディングスクールにおいては、
「私は合格できるでしょうか」ということに結びつくような質問は可能です。

「学力、英語力、社会性、リーダーシップ、得意分野など、述べましたが、卒業までにより追求するべき要素はどのようなことでしょうか。」
「私の英語力(TOEFLスコア)、学力(SSATスコア)は貴学が求める基準と比較するといかがでしょうか。」
など、本来ならアドミッションスタッフが質問すべきところを、面接の会話の流れから考えて、質問します。

アドミッションスタッフは丁寧に志願者が
伸ばすべき点について語ってくれるとこでしょう。
それが来年の1月末くらいまでに達成できるかどうか、
志願者がその学校への入学を強く希望するなら、結果を出して、面接を担当した
アドミッションスタッフに報告することは、もちろん可能なのです。

ボーディングスクールの面接におけるコミュニケーション、
そのあり方にこのブログの読者の皆さんがより興味を持ってくれれば幸いです。

日曜コラム ボーディングスクールの面接について2018-10-14

ボーディングスクールの面接に臨んで、
大切なことを学校管理者の人たちに尋ねました。

現在、アメリカ東海岸地方を飛行機と車を使っての学校訪問の最中ですが、
行く先々の学校で校長先生やアドミッションスタッフに面接要領を尋ねることは、
コンサルタントとしての私の大切な仕事でもあります。

中学レベルのジュニアボーディングスクールでのインタビューと
高校としてのボーディングスクールのインタビューでは、当然のことながら
求められる英語力、知識、表現力などが異なります。
今回は、私のボーディングスクールランキング4、ESLのない学校での
面接を基本に考えてみたいと思います。

具体的な質問事項を列挙して、それに対する受け答えを暗記するようなことは、
ランク4の学校においては、有効ではありません。
学校が求めているのは、出願者の知識や英語力の程度ではなく、
出願者と学校の相性、マッチングです。
そこを見極めることが、お互いの目標達成のために最も必要な要素となります。

では、相性がいいということは、
面接においてどのような形でもたらされるのでしょうか。

あるジュニアボーディングスクールの中学部門、
責任者の先生は学校の理念(ミッションステートメント)
が自分のボーディングスクールのあるべき姿と
共通しているかを学ぶことが重要であると言います。

いずれのボーディングスクールも理念としているのは、
人間としての誠実さ、勤勉さ、チャレンジの精神、
不屈の努力といった極めて精神的、観念的なものです。
もちろん、このような理念は、試験で計ることも、
点数化することも不可能であると思います。
それ故に、志願者にとっては、自分の得意な分野でその理念をいかに達成し、
不得意な分野をどのようにして解消していくかを説明することが面接では、
求められると思います。

そのためにそれぞれの学校理念に対する解釈、そして
活用のための思考回路とその表明を、アドミションスタッフは聞きたいのです。

ボーディングスクールスタッフは、決して模範回答を期待していません。
回答に込められた一人ひとりの志願者の情熱や意欲を見ています。
そのために面接は、「楽しい会話」でなければなりません。
自分を解ってもらうことが、どれほど喜ばしいか、よどみなく言葉が流れるかを
アドミッションスタッフは期待しています。
つづく

♯2 教育の多様性-於ペンシルバニア州2018-10-11

日本では、日常における生活の価値観や基本習慣などは、初等、
中等教育のなかに組み込まれているとはいえないと思います。
それは、家庭教育のなかで培われるべきで、
学校としての機能と役割の範疇にはないように思います。

ボーディングスクールの教育においては、
学校生活の基本姿勢はとても重視されています。
尊敬、誠実、正直、挑戦、好奇心など、文字通りボーディングスクールの
教育の根幹をなすものと言えます。

先生に対する不敬な態度や発言は、一度は注意で済まされても、
2度目は、謹慎や停学を含む処罰の対象となります。
作文、課題のコピーペーストもボーディングスクールではもちろん許されません。
このような教育の基本姿勢が100年以上に渡って遵守されています。
その伝統がボーディングスクールのレガシーとして、親の卒業校への子の入学が
優遇されるのではないでしょうか。

単に入学にふさわしい学力の持ち主というよりも、
価値観こそが、親から子に継承されるべき
ボーディングスクールの徽章だと私は確信しています。

さて、教育の多様性については、ボーディングスクール教育を考える時、
必須概念として欠かせませんが、果たして、日本の教育の多様性については
これからどのような見通しがあるのでしょうか。

アメリカ、ボーディングスクールに比べて、日本の教育の多様化が
目覚ましく発展しないのは、そもそもその必要性や危機感について、
教育を受ける側も与える側もそれほどまでに感じていない
という現実があるからではないでしょうか。
個人よりも団体を重んじ、その組織の意のままに生きるという
価値観は、グローバル化の影響で変化しつつあるとはいえ、
初等、中等教育の世界にまで大きな影響を及ぼすには至っていません。
その一方で、多くの人たちが、日本の将来に対して、
楽観視よりもむしろ悲観視しているのが現状です。

教育の多様化を取り込む具体的な方法は、
個人が新たなことに挑戦することから始められると思います。
その挑戦は、ただひたすら暗記する教育的挑戦ではなく、むしろ
暗記や記憶に頼らない考える教育への挑戦であるべきではなかいと思います。
そのために10代のなるべく早い時期に異文化を単身でまとまった期間、
経験することが、それぞれの人の将来の大きな鍵を握ると私は信じています。

ボーディングスクールへの旅が続いています。
アメリカ、東海岸地方も朝晩、めっきり寒くなりました。
吐く息が白くなる日もすぐやって来るでしょう。


日曜コラム 於シカゴオヘア国際空港2018-10-07

10月はボーディングスクール学校訪問に最適な時期です。
これからの学校訪問に備えて、少しばかり早めにアメリカ入りして、
今、シカゴオヘア空港の国内線ラウンジにいます。

この空港での入国審査は、電子化によって著しく改善され、
導入前の気の遠くなるような審査待ち時間は解消されました。
週末でシカゴ空港へのフライトが大混雑する時間であっても、
30台をこえる入管登録機により、待ち時間は殆どありません。
日本語での対応も可能なので、英語力にかかわりなく、入管手続きは
問題なく行えるといえます。

シカゴ国際空港は、恒常的に空港改善のため工事が行われています。

今回は、国際線到着ターミナル5と国内線移動のためのモノレールが停止され、
移動はすべてシャトルバスでした。
日本であれば、「お客様には、大変ご不便をおかけして申し訳ございません」
というようなアナウンスがうるさいほどに流れるところですが、
アメリカでは、そのようなアナウンスは一切ありません。

彼らには、そもそも「申し訳ない」という発想がないのだと思います。
改善のための不便は当然のことで、一時の不便は、
未来の発展のための必然と発想するのでしょうか。

詫びの言葉を連呼されるよりも、現場対応がしっかりしていれば、
ユーザー側としては、文句はありません。

シカゴ国際空港の国内線ターミナルは1,2,3です。
私はUAをいつも利用するので、1に移動します。
午後のUAラウンジは、驚いたことにスキヤキ鍋が用意されていました。
食にも改善が見られると思いきや、残念ながらその味は期待外れでした。
サラダ類は生野菜そのものですから、いいのですが、
調理が加わると、日本的テイストはアメリカではすべからく期待できません。

勝手な想像ですが、アメリカでは国の創立から発展のなかで、
食に対する繊細な配慮に意識を集中している時間が無かったのでしょう。

食は期待できませんが、施設や設備の改善、
進展はいつも感心させられるのが、アメリカという国です。
それは、ボーディングスクールにも当てはまります。
進行中の工事現場のないボーディングスクールは稀なのです。
寮、学習棟、スポーツ施設など、必ずどこかで工事が行われています。

さて、今回の学校訪問、2週間の長きに及びますが、
そのハイライトをブログで述べたいと思いつつ、国内線の飛行機に搭乗します。